Antique Black Glass Cabinet from France ,19th

フランス製のアンティークガラスキャビネット。

上段の扉には、揺れガラス（Ripple Glass）が使用されており、わずかに波打つ独特の歪みが、当時の製法と趣を今に伝えています。この“ゆらぎ”は、現代の工業製品では再現できない、柔らかな光の屈折を生み出し、空間に詩的な空気を添えてくれます。残念ながら片方のガラスは割れてしまっていて現代のものに差し替えております。

取っ手部分は、白磁製のかぼちゃ型ノブが取り付けられており、金属ネジでしっかりと固定されています。手に触れた際の温かみや、時代を感じさせるシンプルで洗練されたフォルムが魅力です。

下段には、長年の使用によるペイントの剥がれや擦れが見られ、茶系〜黒のベースカラーの上に、当時の生活の痕跡が美しく浮かび上がっています。偶然のように現れた模様が、まるで抽象画のような深みを感じさせます。

全体に見られるエイジングの風合いは、決して“古い”ではなく、“歴史ある美しさ”として今なお輝きを放ちます。